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911アメリカ同時多発テロ犠牲者追悼「灯籠流し」に参加して
 


あれからもう 5 年が経つのか。誰もがそう呟いたのが今年の 9 月 11 日。

思い出されるのは、明るく晴れあがった NY の空に、黒い煙と共に崩れ去った3本のビル。もうもうと追いかけてくる粉塵の中で、睫毛の先まで真っ白になりながら、呆然と立ちすくむ人々。救われなかった犠牲者の方々、勇敢にも人々を救うために犠牲になられた方々。そしてその家族の方々の涙。

それらを思い出すたびに、軽い痛みと共に深い深い悲しみが、今でも心の奥に残っているのを感じます。

そしてこの日を境に、無意味な争い、嫌らしい恐怖、卑屈な猜疑心が人の心を支配しようとし、世界中を一つの悪い夢の中へ叩き込んでしまっている現実も、悲しく感じます。

しかし、テロとの戦いのシンボルにされてしまったワールド・トレード・センター( WTC )のグラウンドゼロを訪れる人々は、こんな世界を夢見ていたわけではないでしょう。早く悪い夢から覚め、新しい明るい日を作っていこう。

そんな思いを込めて、今年もグラウンドゼロからほど近い NY ハドソン川で、 NY 本願寺主催、在米邦人の NPO 団体 NY de Volunteer 共催によるアメリカ同時多発テロ犠牲者追悼の灯篭流しが行われました。

5 年目を迎える灯篭流しの法要は、日本文化である灯篭流しを通じ、犠牲者の方々の安らかなるご冥福と残された方々の心の平安と世界の平和を、願い祈るセレモニーです。平日にも関わらず今年もたくさんの方がハドソン川のピア 40 に集まり、思い思いのメッセージを込めて、灯篭を作っていかれました。

偶然通りかかった人も、初めは興味本位で筆をとっておられましたが、メッセージを書いていくうちに涙ぐんでいる姿も見られました。

夕方 6 時、法螺貝の音の合図と共に和太鼓の演奏が始まり、セレモニーへと人々を誘います。そして NY 本願寺中垣住職による読経が続きました。

NY 本願寺には、広島で被爆した親鸞上人像が安置されています。そのゆかりもあり、毎年広島から NPO 団体子供の未来と平和を考える会のみなさんが、広島の子供達が描いた灯篭を運んできてくださいます。会場の近くには、元気一杯の子供達の手による灯篭が用意されていました。

また今年は広島在住の歌手山村貴子さんがおいでになり、「灯篭流し」と「折り鶴」の歌を歌われ、 NY からはブロードウェイ歌手のラッセル・デイジー、リナ・ストロバーのお二人の、心打つ素晴らしい演奏が披露されました。そして仏教、キリスト教、イスラム教、神道の方々による祈りが捧げられ、静かにプログラムは進んでいきます。

辺りは次第に暗くなり、 2 キロほど離れたグラウンドゼロから 2 本のビームが空に向かって伸びているのが、闇の中にくっきりと表れてきました。時折流れてくる雲が、その光を遮り明るく反射させ、その様子は、まるでそこに天国が降りてきたような、幻想的なものでした。

そしていよいよ、メッセージの描かれた手作りの灯篭に火が灯され、その場に居合せた人々が、誰からともなくそれぞれ灯篭を手に一列に並び、順にハドソン川の上に浮かべていきました。

川に流され、すこし離れていった灯篭の儚い小さな灯りが、暗い川面にいつまでもいつまでも消えずゆれていたのが忘れられません。

悲しみを、報復や戦いを鼓舞する為のものにするのではなく、平和への反省と祈りにかえて、新しい明るい日をつくっていこうとするこのセレモニーは、国籍や人種や宗教を越えて理解され、年々支援者が増え、大きな輪となろうとしています。

世界が行き過ぎてしまった今こそ少し立ち止まり、日本的伝統の灯篭流しを通じて、小さな灯りを大切にする気持ちを思い起こして欲しいと思います。

NY 本願寺
http://www.newyorkbuddhistchurch.org/

NY de Volunteer ( NY でボランティア)
http://www.nydevolunteer.org/

 





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