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アメリカで輝いている人 VOL.51

川平 謙慈 さん (Mr. Ken G Kabira)
Lipman Hearne 副社長 
 
アメリカで活躍されている方々にインタビューをし、その人の活躍の場、内容、素顔を通じ
よりアメリカを知っていこうと企画された “Brilliant People” 輝いている人!

第51回目に登場いただくのは
Lipman Hearne 副社長の  川平 謙慈 さんです。


川平さんは NPO専門のマーケティング・コンサルティング会社 Lipman Hearne 副社長としてご活躍です。
以前はケロッグ、マクドナルドのマーケティング部長として業績回復に貢献。広告大賞も受賞されています。
また、日米協会の役員として日系企業、日本人とアメリカの接点を持つ為に多方面でご活躍されています。
−経歴−

1960年 沖縄県生まれ
1979年 渡米
1981年 ヘストンカレッジ卒業(カンザス州) 同年プレビュー病院 看護助手
1985年 シカゴ大学卒業
1987年 インランド・スチールカンパニー 入社
1992年 シカゴ大学経営大学院卒業
1994年 ケロッグ・カンパニー入社(ミシガン州)
2001年 マーケティング・コンサルタント(ワシントン州)
2003 年 日本マクドナルド入社 ベスト広告賞受賞/広告祭銀賞受賞
2005 年 ナショナル・ルイス大学
2006 年 Lipman Hearne 入社



日本におけるグローバルブランド成功の秘訣というテーマで日米協会で講演された内容に関して教えて頂けますか

私が勤めていたケロッグとマクドナルドを題材にプレゼンさせて頂きました。ケロッグはコーンフレーク市場で 50% から 60% のマーケットを持っています。第 2 位はカルビーの 35% です。
マクドナルドも売上げ、店舗数共に外食産業では NO.1 です。

まずブランドの定義からお話ししますが、ブランドとは単にロゴやスローガンといった象徴的なものではなく顧客との情緒的な繋がりを維持するストーリーなのです。

自分の好きなブランドは理性ではなく、情緒的な繋がりがあります。ブランドは人の心の中に存在します。心に残るストーリーは感情に訴えるものです。自社ブランドを優位にする為には、顧客の心に入らなければなりません。

ブランドをつけたものとブランドをつけないものでは味が違うという調査報告があります。
心で食べる、心で飲むんですね。

ブランドをストーリーとすればブランディングはストーリーを伝える、経験させる行為です。良いブランディングは良いストーリーをうまく伝えるという事になりますね。

マクドナルドやケロッグなどの典型的なアメリカブランドが文化の違うところで何故成功しているのですか

マクドナルドやケロッグが成功した秘訣はシンプルなアイディアを世界に持っていった事です。

ケロッグの例を紹介すると 1963 年に日本法人を設立し、 1969 年に高崎工場が操業開始しています。バブル期にシリアル市場が急成長しましたが、 1993 年売上げが激減し厳しい状況となりました。 2002 年に売上げがバブル期のレベルまで回復しています。

カルビーは 18 年前にシリアル市場に攻撃をしかけました。ケロッグと同じ商品を 3 分の2の価格で販売したのです。カルビーは 30 年前にポテトチップ市場で全く同じことをして成功した体験をもっています。覚えているかもしれませんが、30 年前日本でポテトチップスと言えば湖池屋でした。

では何故カルビーはシリアル市場で NO.1 になれないのか。その最大の理由はブランド戦略の差です。湖池屋には強いブランド力がなかったのです。

ポジショニング ステートメント

ターゲットにとってブランドは差別性を意味するカテゴリー、枠組みなのです。ターゲットである子供にとって、ブランドであるケロッグ・コーンフロスティは成功を意味します。成功は普遍的な人間の価値です。そして枠組みとなる朝食はシリアルであるという落とし込みをします。

ケロッグのCMではキャラクターであるトニーは決して非難、叱咤しない。そんな事は親や周りの人 誰かが必ず日常的にやっている事ですからトニーは絶対にしないのです。困難なスポーツシーンを克服して賞賛される。そしてそのエネルギーの源はコーンフロスティとなるのです。

マクドナルドとケロッグでは戦略が違いますか

マクドナルドは 1971 年に 50/50 の合弁企業として設立されました。ケロッグとは違ったブランドを定義しています。

マクドナルドは 1つのブランドパーソナリティー 、9つのブランド特徴を持っています。 132 カ国に展開していますが、マーケット理論によるビック 10 の通り、トップ 10 のマーケットが売上げの 80% を上げています。

一番の違いはケロッグは流通、すなわち卸業者を通して棚に置いてもらいますが、マクドナルドは PEOPLE ビジネス 直接お客様に販売します。

グローバルブランドのメリットは何ですか

グローバルブランドのメリットは1つのブランドに対して世界中からアイディア、人材が集まり活用する事が出来る事。
すなわちブランドの競争力を高める事が出来る。ナショナルブランドを世界中に展開しているという事になります。

そして、グローバルブランドの条件は発祥国の文化特性に囚われない普遍的な人間の価値に基づいています。
シンプルで同一なポジショニングを全世界で展開する事が文化の壁を越えることの出来るストーリーとなるのです。

グローバルブランドという点で日系企業は如何ですか

言葉の壁は大きいですが、海外経験豊富な人がトップになっているケースが多いですし、 アメリカ企業と比べても劣っているという事はないと思います。 トヨタやソニーなどはいまや日本企業ではなくなっています。

日本に本社を置く企業はソニーや日産などの例外を除けば殆どが日本人社長です。
ケロッグの現社長はオーストラリア人ですし、その前はキューバ、その前はカナダ出身の高卒の人です。 ここ10 年程アメリカ出身の社長がいません。
こういう事を考えると日本的な人材システムがいつまで続くかは疑問です。

しかし、日本だけではなく例えばイタリアの会社にフランス人社長がたくさんいるわけでもないのです。日系企業においては、意思決定者が日本人である事がデメリットにならない提案をする事です。

私は 外資系という言葉が嫌いなんです。 外国企業が障害になるというマイナスイメージを持っていますよね。グローバル企業の一員としてのメリット、いかにプラスにしていくかという事が重要なポイントとなります。

ではどうやって戦略をローカルの戦術として落とし込んでいくか

その国の市場に合った戦術と実行を現地法人に任せる事がポイントです。

消費者リサーチをもとにそれぞれの文化特性を活かしていく。

例えばアメリカ、南米、日本のスポーツ環境を比較してみましょう。アメリカは競争環境にない。困難なスポーツを達成する。南米は個人のプレーを観衆が賞賛する。日本は個人の達成したプレーがチームを勝利に導き、仲間から賞賛される。

ですから同じ商品でも伝え方は全く違うのです。

ケロッグでは本社に CM を送る必要はないんです。マクドナルドの責任者会議ではアメリカ的をどうやって現地に持っていくかなどという会話は一切ありません。すでにアメリカ的価値ではなくなっているのです。

マクドナルドが今展開している I lovin' it という CM は実はアメリカではなくドイツの広告代理店が提案したものです。本社のある国のアイディアが一番という考えでは大きくなれない。

具体的な事例でご説明頂けますか

アメリカ・イギリス・日本のマクドナルド ハッピーミールの CM で比較してみると、今こういうおもちゃがあるというのが共通点となっています。しかし、それを伝える方法は各国で全く違ってきます。

特に日本では広告・マーケティング業界ではタブーとされているデュアル・ターゲット 本来であればターゲットを絞り込んでいかなくてはならないところを子供にも母親にも伝わる広告を制作しました。

日本はメディアに対する接し方が違う事にも影響しています。子供が喜ぶおもちゃをつけてハンバーガーを食べに行く=連れて行かなくてはならない=大変というように日本の母親は子供向けに作った CM を防御的に観ている傾向があります。そこでマクドナルドは母親を理解していますよ というメッセージを送ってあげる事が重要なポイントになるのです。

母親にとって子供との食事は毎日のバトルを繰り返す事なんです。嫌いな物も食べさせる、きちんと全部食べさせる。毎日が戦いです。でもマックに行けば好きなものを自分で選んで食べられる。日常から解放されるのです。

マクドナルドの男性トイレにもおむつを換える台を導入させています。それは母親の為なんです。いつもは母親が一日中子供と一緒で食事もゆっくり出来ない。でもマックに来ればお父さんがおむつの交換もしてくれる(笑)

親にとって子供は誰でも可愛いものです。ですから CM には必ずマジックモーメントを入れ、子供の可愛さを伝えます。親にとってのメッセージです。もう1人のターゲットである子供はおもちゃに集中しこのシーンには全く興味を示しません(笑)

日本で広告大賞を受賞されていますね

ご覧になったかもしれませんが、エレベータを開けようとすると直ぐ閉まってしまう。中ではエレベータガールがマックを食べている(笑) 野球場で選手がマウンドに集まる。グローブで口を隠して何やら相談をしているんですが、実はマックのハンバーガーを食べている。今食べたいというメッセージを送る。

この CM は日本で賞を取りました。値引きをするにしてもマクドナルドの良さを伝える必要があります。ブランドパーソナリティでファンを入れる。このアイディアが世界に広がる。

マクドナルドが赤字から好転したポイントは

当時は緊急病院にいたようなものです。赤字から回復という全社一致の目標がありました。企業回復は原点に戻る事。フードリテーラーであることを再認識する。我々は難病を退治したり、世界を変えようとしているわけではなく、ハンバーガーを売っているんだと(笑) ですから CM をシンプル化し、パーソナリティに忠実にしました。

血も流しました。 20% 解雇という大掛かりなリストラもやりました。手厚いプログラムでもありましたが、優秀な人程辞めてしまうのではという危惧もありました。優秀な人をチャレンジさせるフィールドを用意する、残って欲しいと説得しました。

優秀な人の定義とは

その時の状況によって違ってきます。変革の時にはアイディアマンは絶対に必要とされますが、安定期には色々革新的なアイディアを出されては煙たがられます。

ケロッグとマクドナルドで働いて何か違いはありましたか

ケロッグの時は家族一緒に日本で生活出来たので良かったのですが、マクドナルドの時は子供の学校の問題もあり 3 週間は東京で単身赴任、 1 週間はアメリカといった生活でした。家族と離れて生活しなくてはならないという環境だったので大変でした。

その為家族と一緒に過ごせる環境で自分の力を活かせる仕事を探し今の会社( Lipman Hearne )に転職しました。

今までの仕事は日本と関わりがありましたが、今は全くなくなってしまったので少し寂しいですね(笑) これから日本との関わりのあるクライアントを作っていこうと思っています。

Lipman Hearne  について教えて頂けますか

カスタマーが NPO (ノンプロフィット組織=非営利団体)という マーケティング・コンサルティング会社です。 NPO 専門としてはアメリカで最も知られています。

ライオンズクラブや高等教育機関、財団、福祉団体、美術館などが主なクライアントとなりますが、非営利だからといって競争がないわけではありません。大学だって学生がいないと運営が出来なくなります。

営利の為ではなく NPO としてのミッションを果たすため、ストーリーを伝える為にマーケティングとブランディングが必要なのです。

以前は看護助手 全く違ったフィールドにいらっしゃいましたが

短期大学卒業の頃多くの友人達は大学にトランスファーしていきましたが、私はまだ方向性が決まっていなかった(笑) 
取り合えず働かなくてはという事で看護助手になりました。とても良い経験をさせてもらいました。

家族について教えて頂けますか

私は沖縄県出身で父が日本人、母がアメリカ人です。 3 人兄弟で兄と弟は日本のテレビやラジオでサッカー解説や舞台などで頑張っています。

両親や兄弟は今も日本にいます。私だけがアメリカに来てしまいました。
現在はアメリカ人の妻 息子、娘との4人家族です。

子供の頃は日本語で会話されていたのですか

父や兄弟とは日本語、母とは英語でしたね。ですからアメリカに来たときも会話には困らなかったのですが、授業では使う語彙が違いますから辞書を片手に調べまくっていました(笑)

アメリカに来たきっかけは

大学受験がしたくなかったからアメリカに逃げてきちゃったようなものですね(笑) 一種の逃避です(笑)日本の大学受験は巨大な無駄だと思います。でもアメリカに来たら思惑が大きく外れました。もっと楽だと思っていたのですが、大学に入ってからは死ぬほど勉強しました(笑)

川平さんもサッカーをやるのですか

最近はプレイはしませんが以前は地元のサッカーチームに入ってやっていました。こういった底辺の草の根リーグに入るとアメリカのスポーツの裾野の広さが分かります。

試合の時もリーグから緑と黄色の T-SHIRTS が支給されます。ですからどの試合に行っても緑チームと黄色チームなんです(笑) 格好をつけたいわけじゃなく、サッカーがしたいという形に囚われない本質的なところが良いですね。

日本の場合ソックスの色まで揃えないといけないといった細かすぎるところがありますね。サッカーを振興しようとしているようには思えない。

スポーツをビジネスとして成り立つ為にはそのスポーツ、例えばサッカーが好きでない人も巻き込まないといけない。

日本はスポーツマーケティングが出来ていない。アメリカではスポーツのライバルはアミューズメントパークだったりします。既存プレーヤーを守る、守りの世界。攻めの世界じゃない。パイの大きさは一定という発想が根底にありがあり発展しません。

アメリカではサッカー人気が伸びないような気がしますが

サッカーの競技人口としては世界1ですし、 FIFA でも18位に入っているのですが、アメリカの場合競技人口は多いが観戦人口が少ない。3大スポーツの影響が強すぎるのでしょうね。

お薦めスポット

イエローストーンが良いですね。世界最初の国立公園のコンセプトが出来たところです。
イエローストーンというのは川の名前なんですよ。本場のロディオや乗馬なども出来ますし、大自然とはこの事かと痛感します。

最低 3 日間は滞在して欲しいですね。近くにバケーションホームがあってレンタル出来ます。 家内の実家がモンタナという事もあり私は家族で毎年行っています。
車で 2 日間かけて行くのですがアメリカの大きさが分かりますよ。

ストレス発散法

一番は家族ですね。家にいる時はなるべく仕事をしないようにしています。ですからブラックベリーは家ではオフにしています(笑)  ON/OFF の切り替えが大切です。

仕事以外の情熱を持つ事が大事ですね。私はサッカーと自転車レースをやっていました。草の根レースにも出ていますし、ツールドフランスの時期には必ずネットでチェックしています。

自転車レースに興味を持ったのは20年以上前に親しい友人がまず引き込まれたのがきっかけですね。今はレースには出ませんが、 郊外には  Prairie Pathと呼ばれるルートがあって、自動車は入れないのでそこを走ります。

週末自転車に乗って出かけると偶発的にレースになる。サッカーで言えばボールのある所に自然と仲間が集まるような感じです(笑)

最後に誰が残るかなんて競争しています(笑) 一緒に走っている仲間は年齢も職業も知りません。ヘルメットを取って、スーツに着替えたら誰だかわからないかもしれませんね(笑)

成功の秘訣

私の場合部下に恵まれたタイプですね(笑) 43歳で本部長、執行役員としてマクドナルドに行きましたが会社が赤字で大変な時だったので何とかしなければいけないといった危機感を皆が持っていました。イケイケの時だったら、こんな奴が来てどうするんだと思われていたでしょうね(笑)

私は FIRM ・ FAIR ・ FUN という3つの F を大切にしています。 FIRM は任せる所を明確にする。 YES は YES  明確な指示を出し、任せる所は決める。 FAIR は話しは聞く、評価をする、褒める  FUN は楽しい 鳥インフルエンザや米国狂牛病など暗い話しもありましたが  FUN 、会社に行って楽しいと思うことが大切。

この事をきちんとやっていた事が良かったのだと思います。

本日はご多忙の中、貴重なお話を聞かせて頂きまして有難うございました。

インタビュー後記

今回はマーケティングを専門とされている川平さんにお話をお聞きしました。興味のある分野だけに随分と長い時間お話しを聞いてしまいました。

マクドナルド時代に制作した CM で広告大賞を受賞する程の凄腕。でも私が作ったんじゃなくてコンセプトを伝えただけ。あとは部下が作品を完成させてくれたんですよ。成功の秘訣をお尋ねした時も部下に恵まれただけと言い切られていらっしゃいました。

これが川平さんの素晴らしいところだと思います。その人材を大いに活かされたのは3つのF。それが出来る事が凄い事だと思います。

川平さんの言葉には信念があり、力強さを感じます。マーケティングの必要性、重要性がひしひしと伝わります。
仕事以外にも情熱の持てるものを持つ事が大事。サッカーや自転車にも情熱を注ぎ、何より家族を大切にする。

今回もとても魅力的な人にお会いする事が出来ました。

本日はご多忙中お時間を頂き有難うございました。


取材・文/小坂 孝樹 写真/堀内 啓志
Lipman Hearne  http://www.lipmanhearne.com/

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