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アメリカで輝いている人 VOL.49

稲葉 加奈子 さん (Ms. Kanako Inaba)
ブラジリアン柔術 ナショナル チャンピオン 
 
アメリカで活躍されている方々にインタビューをし、その人の活躍の場、内容、素顔を通じ
よりアメリカを知っていこうと企画された “Brilliant People” 輝いている人!

第49回目に登場いただくのは
ブラジリアン柔術 ナショナル チャンピオンの  稲葉 加奈子 さんです。


加奈子さんは昼間はオフィスデザインの仕事、夜は柔術の練習と多忙な日々をお過ごしです。ブラジリアン柔術を始めて僅か3年後には世界大会で3位、その後ナショナル チャンピオン、パン・アメリカン大会 1位など輝かしい受賞歴をお持ちです。
−経歴−

0000年 和歌山県出身 日本でメーカー勤務の後渡米
0000年 カリフォルニア大学 バークレー校 建築学部卒業 
2003年 ブラジリアン柔術を習いはじめる
2005年 世界大会3位 (紫帯) 同年 ナショナル チャンピオン
2006年 パン・アメリカン大会 2位 (茶帯)
2007年 パン・アメリカン大会 1位 (茶帯)


柔術をはじめたきっかけは?

昼間はオフィスデザインの仕事をしているのですが、ジュンコさん(先生の奥様)の会社のリモデリングを依頼され、その時に「護身術を習ってみない?」と誘われたのがきっかけです。

実際道場に来てみたら護身術じゃなくて柔術だったんです(笑)

ブラジルでは柔術は世界最高の護身術とされていますから間違いではないんですが..

それは何年前の話ですか?

今から丁度 5 年前、2003年ですね。

という事は 5 年間で柔術のナショナルチャンピオンになったという事ですか?

厳密に言うと始めてから 3 年目にナショナルチャンピオンになりました。

それまで柔道とか空手とか何かやられていたのですか?

いいえ、全くやった事はありませんでした。テレビで K-1 とかは見ていましたが、誘われていなかったら今でも縁がなかったかもしれませんね。

学生時代はソフトボールをやったり、フィールドホッケーなど球技をやっていました。スポーツは好きでしたね。子供の頃から男の子と遊ぶのが好きでしたし、どちらかと言うと暴れん坊(笑) 男の子っぽかったかもしれません。 

全くの武術初心者から 3 年でチャンピオンになるには相当の努力が必要だったのでは?

そうですね、全く何も知らなかったから難しい事もあったのですが、かえって何も知らない事が良かったのかなぁと思う事が多いです。先生からは「覚えが悪い」とか随分怒られましたが、その分良く教えて頂き今でも毎日1つは違った技を教えてくれます。

日本人のロイヤリティや忍耐力はアメリカ人には負けないものがあります。本来持っている日本人ならではの真面目さと先生の教える力、能力、技の知識がうまく融合されたのだと思います。

練習は毎日やるのですか

始めた当初は週に 3 日通っていたのですが、 2005 年のパンナム(パン・アメリカン大会)で負けたのがきっかけで毎日練習するようになりました。

パープル(帯)の時でしたが、負けて悔しいという思いも当然あったのですが、その時の試合で「これはいける、勝てるぞ」と先が見えたんです。

帯の色は何色あるんですか

白から始まり青、紫、茶、黒となります。黒帯までは 10 年くらい掛かると言われています。昇段するか否かは先生の判断によります。

やはり黒帯になる事は1つの目標ですか

私はしばらく茶帯のままで良いです。黒になるとプレッシャーが凄いですから(笑) ブルーの時は負けても良いという風潮がありましたが、茶になると黒帯と同じフィールドで試合をしますので、負けてはいけないというプレッシャーがあります。黒だと尚更ですからね。

強い人というのは見ただけでわかるものですか

分かりません。実際組んでみないと外見だけでは殆ど分からないですね。白帯の時は青が凄く強く思えるんですよね。帯の色が変わる毎に本当に強い人が分かります。

柔術の場合 強さと練習は比例していると思います。ですから練習を積んで、色々な技を学び、試合中に自然に出せるようになると勝てるようになります。

アメリカに来たきっかけは?

実はそれ程大志があった訳ではないんです(笑) 日本で働き始めた頃 漠然とアメリカへ行って英語の勉強でもしようかなぁ程度に思っていました。実際渡米した時も 1 年くらい英語学校へ行って帰るつもりだったのですが、せっかくだから大学へ行って勉強しようと思ったんです。

一番初めはカリフォルニアだったんですよね

そうですね。カリフォルニアのバークレーで建築の勉強をしました。建築には以前から興味があったのと、理数系は英語があまりなかったので助かりました(笑)

ブラジリアン柔術について教えて頂けますか

唯一女の人、小さい人でもテクニックを身につければ大きい人でもやっつけられるスポーツだと思います。

よく空手やテコンドーなどで指で目を突けとか言われますが、実際襲われた時にそんな事出来ませんよね(笑) その点柔術はリアルスティックな護身術だと思います。

チェスをやっているようなインテリジェンスなところもあります。相手が何を考えているか、次に何を仕掛けてくるかなど先の事を考え、どっちの反応が早いかによって決まります。

技の数には限がないので、練習プラス柔軟な頭を持つ事がポイントです。

加奈子さんのような小柄な女性でも大きな男性を倒せるのですか?

全く柔術を経験した事がない人が相手であれば、女性でも半年程練習をすれば体重さがあっても勝てます。

ちょっとしたエピソードですが、以前道場にボクシングをやっている自信家の男性がやってきました。この人と戦った時に秒殺してしまったんです。それ以来その人は道場に現われなくなっちゃったんですけどね(笑)

その他なにかエピソードはありますか?

ブラジルのアマゾンでジャングル・ファイトという総合格闘技に参加した事があります。
今人気の PRIDE のようなものです。

女子の試合が最初に行われたのですが、偶然にも対戦相手は世界大会で友人になった子。相手が私だと分かると泣いて戦いたくないと言っていたのに、試合が始まった途端いきなり殴りかかってきました(笑)

試合はずっと優勢だったのですが、最後は決められてしまい負けてしまいました。とても疲れ果ててしまいましたが、大会の中で一番盛り上がった試合でした。

練習で辛い事はありますか?

あまりないですね。先生からケチョンケチョンに言われる事も今は慣れましたし(笑) スポーツがもともと好きなので練習が辛いと思うことはないんですよね。

ただ総合格闘技の為にスポーツジムのサウナの中で腕立てやスクワットなどトレーニングをしていた時に死にかけた事がありましたけど(笑) 水をあまり飲まないでやっていたので脱水症状になって意識不明になっていたみたいです。

試合前は緊張しますか?

練習中は全く緊張はしないのですが、当日は頭がふぁーとなってしまう事がありますね。まだまだ試合慣れしていないんですね(笑) 今はいつも通りの練習をするだけです。

プライベートではどのようにお過ごしですか?

猫と過ごしてます(笑) 道場はアメリカ人だけではなくポーランド、ロシア、サウジアラビア、フィリピン、メキシコ、プエルトリコなど国際色豊かな大男達に囲まれていますから、プライベートでは普通の日本人の人達と食事に行ったりするのが楽しいです(笑)

成功の秘訣は

ただ努力あるのみですね。 5 年やっていますが、毎日1つは新しい技を教えてもらっています。先生は技の宝庫、良く知っています。

今後の目標は

世界チャンピオンです。来週ロサンゼルスで世界大会が開催されます。今まではブラジルで開催されていたのですが、今回初めてブラジル以外の場所 アメリカで開催されます。この大会で優勝する事が1つの目標です。

このインタビュー記事が掲載される頃は結果が分かってしまっていますね(笑)

お薦めスポットをご紹介ください

そうですねぇ ブラジリアン レストランなんて良いんじゃないですか。 Sal & Carvao はオーナーが代わってから味が落ちたような気がしますので、最近は Texas de Brazil に行っています。

それとシャンバーグにある La Margarita ですね。実はここのオーナーの息子が道場生なので薦めておかないとね(笑) オーセンティックなメキシカンで美味しいですよ。

本日はご多忙の中、貴重なお話を聞かせて頂きまして有難うございました。

インタビュー後記

柔術のチャンピオンと聞いていたので、どんな猛者が現われるのかと思っていたら、とっても可愛い華奢な女性だったのでびっくり。

でも実際に稽古をされている所を見ると、その実力が分かります。そして柔術が好きなんだなぁと感じます。本当は厳しいんでしょうけど、とても楽しそうに練習されているように見えます。厳しい練習も楽しむ事が出来るので強くなれるのだろうと思います。

昼間はデザインの仕事、夜は練習と本当に良く頑張られている魅力的な女性です。

今回のインタビューは先生の奥様でいらっしゃるジュンコさんも一緒でした。お二人の会話が掛け合い漫才のようで楽しく、道場の雰囲気も和やかになっています。

全くの素人だった加奈子さんが数年でチャンピオンになれたのは、ご本人の弛まぬ努力と練習、先生の教え、道場のムードなどがマッチされた結果だと思います。

道場に来られている生徒達は強くなりたい、体や精神を鍛えたい、護身術を学びたい、いずれは人に教えたいなど様々な目的をお持ちのようです。性別、年齢、国籍を超えて楽しめるスポーツだと思います。

後日世界大会の結果のご連絡を頂きました。優勝は逃したものの3位入賞。試合中腕を痛めてしまい、怪我さえなければ優勝出来たかもしれないという惜しい結果だったようです。でも世界の強豪が集う大会で3位は素晴らしい! お疲れ様でした、そしておめでとうございます。

本日はご多忙中お時間を頂き有難うございました。


取材・文/小坂 孝樹 写真/堀内 啓志
 

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