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まず最初に何故外務省に入省しようと思ったのか教えてください
外務省に入った動機ですね。祖父が弁護士をしておりまして、祖父を見ていて仕事の範囲が狭いような気がしたんです。大きなことを相手にした仕事をしてみたいと思っていましたから、外務省であれば全世界を相手にしているので良いと思ったんですね。大学に入った頃からそんな事を考えていました。
実際に入省されて如何だったですか
若い頃は忙しい割に給料が安いので弁護士になれば良かったかなぁと思う事もありました(笑)
でも彼らは彼らで同じような事を思っていたようですね(笑)
オックスフォードに留学されていたとお聞きしましたが
外務省では新しい職員を語学習得の為に1,2年〜3年海外に派遣されるのです。ロシア語、フランス語、中国語、韓国語、アラビア語などの勉強にいくのですが、私は英語が勉強したかったのでオックスフォードに行きました。
英語を勉強するのはオックスフォードかケンブリッジだったのですが、オックスフォードを選びました。イギリス国内はじめ、ヨーロッパを旅行してり、見て歩き色々な人に会った事が勉強になりましたね。
総領事がお洒落なのはイギリスにいらっしゃったからですね
そんな事を言って頂いたのは初めてですよ(笑) 口幅ったいですが、日本を代表する立場にあるので、それに相応しい服装をしようと心掛けてはいます。
お仕事柄色々な方にお会いしていると思いますが。
そうですね。シカゴでは総領事という立場でもありますので、私の方から会おうとすれば大体は会って頂けるんです。
私の仕事の一つは日本の事をアメリカ 特に中西部の人に知ってもらう事ですから、色々な人に会うように心掛けています。人と会う事でビジネスにしろ何にしろ交流のきっかけになりますからね。
アメリカでのお仕事はワシントン、ニューヨークに続き3度目となりますが、シカゴは如何ですか?
シカゴは文化的な仕事、施設や機関が多くそれぞれがとても良い仕事をしています。美術館なども素晴らしいですし、シカゴ大学やノースウエスタン大学など大きな大学もあります。日本の美術や文化を研究しているアメリカ人の先生も沢山いらっしゃいます。若い人で日本語を真剣に勉強している方もかなり多いのが印象的です。
また、アメリカの大企業の本部がいくつもありますね。薬品のアイボットやバクスター、マクドナルドやキャタピラなどもそうですね。通信機器のモトローラ、ユナイテッド航空などもあります。その中の多くは日本へのビジネス、あるいは投資で成功しています。企業のトップあるいは国際担当の責任者の方々も気軽に会ってくれますね。日本に居たことがあったり、関わりが深い人が多いです。日本で成功する事が世界展開には重要と考える人が多いのです。
日本との関わりは如何ですか?
ご存知かと思いますが、JETプログラムをもう10年以上やっています。世界中の英語圏を中心とした人達を日本の大学などに派遣しています。今では大きな人数になってきていますよ。
日本の文化、文学を学ぼうとして日本語を勉強する。それがきっかけで日本とのビジネスに興味をもっていく。
最近の若い世代の人はポップカルチャーがきっかけとなった人も多いと思いますね。 日本語を勉強する人々の裾野が確実に広くなってきています。
国際交流基金が5年毎に日本語学習者の調査をしていますが、1998年に92,000人しかいなかった学習者人口が2003年には14万人にまで増えています。当領事館の管轄地域だけを見ると12,350人から25,450人とほぼ倍に増えています。(JAPAN
FOUNDATION 2003 SURVEY)
管轄地域も今までの4州から10州に増えて大変なのでは?
管轄が10州に増えた背景には2005年1月にカンザスシティーの総領事館が閉鎖となった事があげられます。シカゴの総領事館の管轄地域は従来のイリノイ、インディアナ、ミネソタ、ウィスコンシンの4州に、アイオワ、カンザス、ミズーリ、ネブラスカ、ノースダコタ、サウスダコタの6州を加えて10州となりました。面積にすると日本の国土の5倍になるそうです。
日本人の数はもともと管轄であった4州で18,000人、その他6州を併せても数千人ですから、数自体は非常に大きくなったわけではないのです。
しかし人口は少ないですが、日本との経済関係で見るとビジネスとしては重要な地域です。 ミズーリ州は自動車部品、カンザス州は航空機産業が盛んで、日本からの投資もかなりの額になります。
このような広大な地域にお住まいの日本人の方々に出来るだけ不便をかけないよう、年に数回領事出張サービスを実施したり、セントルイスの日本祭の協力をしたりと領事館がなくなっても日本の方々に不便が生じないようにすると共に日本の顔が見えなくならないようにやっております。
ご出張もかなり多かったのではないですか?
今年は15回程ありましたね。新しい所が増えて勉強にもなりますし、面白いですよ。 日本から14人の領事が来ていますが、10州を担当していますから
ようやく人も1人だけ増やしてもらいました。
大変な激務でお忙しい事と思いますが、プライベートな時間はどのようにお過ごしですか?
夏の間は良いゴルフ場もたくさんあるますから時間があればゴルフもします。冬の楽しみとしてはコンサートやオペラなど非常に質の高いものがありますから退屈する事はないですね。アメリカの人達と一緒に行ってより親しくなるきっかけにもなりますしね。
アメリカの他にも色々な国にいかれていらっしゃいますが、エピソードなどあれば
中国では広報と文化の仕事を担当していたのですが、大使館の図書室にあった本は古いものが多かったので、それを中国の機関に譲渡するなどして処分をして一新しました。その代わりに新聞、雑誌、ビデオなど新しいもの、ファッション誌やビックコミックオリジナルのようなマンガやオレンジページなどの料理の本も置きました。
会員制にしていたのですが中国の若者を中心にたくさんの人が集まり、1年で3000人ほどの会員が集まりました。1年後に北京のディスコを借りて日本ファン大集合というイベントを企画しました。
我々が図書室を新しくしたのと同じような時期に著作権協会が日本のCDが聞けるセンターを北京に作りました。これは日本のCDに親しんでもらい買ってもらうようにする、著作権保護の考え方を浸透させるという2つの目的で設立されたものですが、そこの会員と大使館の図書室の会員に声をかけてイベントを開催しましたのです。
会場内で日本のCDが聴けるというリスニングルームも設置したりなど色々な企画で3000人近い中国の若者が集まり足の踏み場もない程の盛況ぶりでしたねぇ。中国にはその類のお祭がないので盛り上りました。
傑作だったのは外務省が作った日本を紹介するビデオを流したらしらけちゃって(笑) そのビデオの中で人気のある歌手がポップミュージックを歌う場面になるとそこでまた盛り上がる.. ポップカルチャーの力は凄いですよ。日本のポップカルチャーを普及する為やったわけではないですが、それがきっかけとなって日本や日本の文化、言葉に興味を持ってもらうのは良い事だと思います
南アフリカは如何ですか?
南アフリカ時代には小泉総理が厚生大臣として来られた事があり、2〜3日ご案内を致しました。公式には副大統領とお会い頂いたり、日本が援助している黒人地区の病院や診療所を視察されたりしました。印象深いのはとても動物がお好きだという事です。野生の動物を見に行くことが出来なかったのですが、街の公園でも動物を見かけると関心を持たれていましたね。
クルーガー国立公園、四国程の大きさがあるのですが、ここではライオン、豹、キリン、象など野生の動物を見る事が出来ます。隣接してプライベートのゲームリザーブがあり、囲いなどもない身近なところまで案内してくれ、もっと丁寧に動物を見せてくれます。
超豪華列車ブルートレインに乗ってプレトリアからケープタウンに一昼夜かけて行きキンバレーのダイヤモンド鉱山、掘った後の大きな穴などを見学出来たりと非常に楽しい国です。
地球の中でも大きな国だったので、勿論小さな国でも仲良くしなくてはならないのですが、日本外交を展開していく上でも南アフリカは重要な国ですね
どこの国が良かったですか?
アメリカの中ではやっぱりシカゴが良いですね(笑) 人々はフレンドリーですしね。時期や年齢的な事もあると思いますね。ワシントンにいた20年程前は貿易摩擦で日米間の緊張が高かった頃ですし、経済班だったので難しい時でした。
ニューヨークは10年程前ですね。日本に対する貿易問題の厳しい見方が残っていました。その時は広報を担当していましたから日本というものをアメリカの人に理解してもらう難しさがありました。
今は日本の良い面を見て、リスペクトしてくれる人も増え、理解してくれる人が多くなったと思います。
シカゴの魅力について
簡単に一言では言い尽くせないですね。日本の方はシカゴというとアルカポネを思い浮かべる人が多いと思います。シカゴに来た人は皆感じる事だと思いますがとても綺麗な街ですし安全です。
ビルのスカイライン、湖に面した公園も綺麗ですし多くの文化施設もあります。観光に来るにも良いところですね。

また、日本との関わりも深い場所です。美術館には浮世絵が1万点程貯蔵され、ボストンに次ぐコレクションです。写楽、広重、北斎など良い物が多いです。浮世絵は色が変わりやすいので一度に全てを展示される事がありませんから、全部を見るためには何回も足を運ばなくてはなりません。
フィールドミュージアムではテラノザウルス(T.Rex) SUEが展示されていたり、科学産業博物館では人間の生活について良く観察する事が出来ます。
郊外ではオークパークなどフランクロイドライトの作品として個人の住宅、ユニティテンプルなど建造物も多く見られ素晴らしい所です。時間があればシカゴアーティクチャル・ソサエティ 川からボートで見る1時間程のツアーもお薦めです。20世紀初めに建った高層建築を見るのは勉強にもなるし、楽しいですよね。
スポーツ好きの方ならSOXには井口選手もいるし、シカゴベアーズも成績も良くスポーツ観戦も楽しいですね。
シカゴ着任を振り返って
一言でいえば非常に楽しく仕事をさせてもらいました(笑)
心掛けている事は中西部にお住まいの日本の方へのサービスを出来るだけ向上させていく。その為には例えばホームページやメールマガジンを使って多くの情報を出しています。
またイリノイ州の日本人が特に不便を感じられている運転免許証の問題ですが、イリノイ州においては社会保障(ソーシャルセキュリティー)番号がないと州法上運転免許証を発給できないことになっている為に駐在員の家族の方など多くの日本人が運転免許証を取得できない事態となっていました。
総領事館では他の諸国の領事団とともに州政府に問題の解決を働き掛けて、運転免許証に関するイリノイ州法が改正となり、ようやく2005年1月から合法的に滞在するが社会保障番号を取得できない者に対して、「一時訪問者用運転免許証」が発給されることとなりました。
また日本というものを色々なところで知ってもらうために大学へ行って講演をしたりします。その他インディアナ州議会、イリノイ州議会などでもスピーチを致しました。
その他、日本の文化を紹介する為に色々な団体の支援なども致します。
2004年の秋にはシカゴ美術館で能と狂言の広報のお手伝いを致しました。地味なので切符が売れないのではないかと少し心配も致しましたが、記者会見を領事館で開催したりしてチケットは発売日の1時間程で完売されました。
それとローカルスタッフが30名、日本からも14名と大きな世帯なのでマネージメントも私の大きな仕事の一つです。今流行りの言葉で言えばコーポレートコミュニケーション、お互いの意思疎通、重視している事を分かってもらう、皆の意見や困っている事を聞くように心掛けています。
今後の課題としては
日本に対する関心が低くなりアメリカは日本を飛ばして中国に対する関心が大きくなっています。ある意味では当然の事だと思います。そうした中で日本に対する関心を維持し、かつ深めていく事が重要と考えています。
2006年 年頭にご登場頂くにあたり新年のご挨拶を頂けますか。
この1年は日本経済に明るい話題が多かったと思います。アメリカで活躍されている人々、企業の方々もだいぶ元気の良い年であったと思います。
本年も引き続き経済面では日本、アメリカ共に良好状態が続き、両国の関係が更に良くなればと思います。
津波、ハリケーンカトリーナ、最近では竜巻など自然災害に関しては暗い話題が多かったですが、このような自然災害がないような年になりますようお祈りしております。
本日はご多忙の中、貴重なお話を聞かせて頂きまして有難うございました。
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