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 アメリカで輝いている人 VOL.10
 松浦 孝亮 さん (MR. KOSUKE MATSUURA)
 レーシング・ドライバー
 
アメリカで活躍されている方々にインタビューをし、その人の活躍の場、内容、素顔を通じよりアメリカを知っていこうと企画された“Brilliant People” 輝いている人!

第10
回目に登場いただくのはレーシング・ドライバーの松浦孝亮選手です。
松浦さんは
現在インディアナポリスを拠点に全米各地のレースに参戦するご多忙な毎日です。

−経歴−

1979年 愛知県生まれ
1994年 カートでレースに参戦 カートレース in 鈴鹿 FRクラス3位
1997年 JAPANカートグランプリFSAクラス 優勝 / World Cup in 鈴鹿 FAクラス優勝
1998年 鈴鹿レーシングスクール(SRS-F)を卒業 スカラシップ獲得
1999年 4輪レースに参戦を開始 フォーミュラ・ドリームに参戦 シリーズ6位
2000年 フォーミュラ・ドリーム チャンピオンを獲得
2001年 ドイツF3選手権に初参戦 シリーズ8位
2002年 ドイツF3選手権 シリーズ2位 BARのF1マシン・テスト走行も経験
2003年 フォーミュラ・ルノーV6にステップ・アップ参戦 シリーズ3位 
2004年 スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングからインディカー・シリーズにフル参戦

現在、インディアナポリスに在住。インディカー・シリーズにフル参戦中。現在までの戦績はマイアミ 11位、フェニックス 11位、ツインリンクもてぎ 8位、そして5月30日に決勝のあったインディアナポリスでは 11位と健闘。
インディ500ルーキー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれ大活躍中!

サーキットに行けば大人に勝てる

特別にレーサーになりたかったわけではないんですよ
。 中学まではサッカーをやっていたんですが、カートでレースに参戦した時「サーキットだったら大人にも勝てるんだぁ」と今までにない気持ちになりました。 サーキットをはじめたきっかけは、こんな漠然とした自己満足の世界だったような気がします。 他のスポーツだとなかなか子供が大人と対等には勝負が出来ないじゃないですか、でもサーキットだったら同じ土俵で勝負が出来るんです。 そして勝てば嬉しい(笑)。 この気持ちは外国人選手と対等に戦うという点で今も延長線上にあるんだと思います。

3年間のヨーロッパでの経験を通して、アメリカとの違いは?

2年はイタリア、1年パリでレースの為生活をしました。 アメリカとヨーロッパは色々な面で違いを感じますね。 レースという点ではアメリカはお客を考えて、楽しませるといったエンターテインな要素を持っています。 サーキットの作り一つをとっても、F1のように目の前を通り過ぎたら1分間は戻ってこないような構造ではなく全てが見えるし、ピットにくればドライバーと接する機会もある。 ドライバーの僕からしても観客との距離の近さを感じます。 テクニカルな面でもヨーロッパのレースは全て隠す傾向があって、お金の掛け方によって勝敗が決まってしまうような所があったりもしますしね(笑)。

チャンスの多いアメリカのレース 

ドライバーにとってもヨーロッパはロードサーキット1発で終わってしまいますが、アメリカのレースはピットに入ったり、イエローコーションがあったりと振り出し振り出しで人生ゲームのような感じです。 駄目な時でも挽回出来る可能性があるのでチャンスは多いです。 でも食事は断然ヨーロッパの方が美味いですね(笑)。

鈴木亜久里さんとの出会い

本格的にレースをやるようになったのは鈴木亜久里さんとの出会いからですね。 SRS(鈴鹿レーシングスクール)は若くて早い、世界に通用するドライバーを育てようと設立されたスクールなんですが、二輪のSRS-J、レーシングカートはSRS-K、本格的なフォーミュラがSRS-Fといったクラスになっています。 僕は98年にSRS-Fを卒業しスカラシップを獲得しているんですが、その時丁度鈴木亜久里さんのARTA(Autobacs Racing Team Aguri)プロジェクトが立ち上がった時で、ドライバーとして抜擢されたんです。

今年はARTAプロジェクトでのインディ参戦は2年目になりますが、昨年は初年度という事もありチームもスタッフも初めての事が多く色々と苦労があったと思います。 今年はその経験を生かし、より良い感じになっています。 F1に参加出来るのは世界で20人分のシートしかない。 インディに出場出来るのも33人しかないんですが、亜久里さんのチームにシートがあって、自分をドライバーに抜擢してくれたわけですから良い結果を出したいですね。

勝てる人、勝てない人

レースをやっている以上勝ちたいと思っているのは誰でも同じです。 その中で勝つ為には何が必要か、自分をわきまえて自分の技量も見極める、自分が何をしたら良いか分かっていないと勝てないと思います。 僕は今までのレースの中でシーズンを通して必ず1回は勝っています。 運だけではここまでは来れないと思います。

練習走行最速で賞金の2500ドルをキャッシュで受け取り、 ビックリする松浦選手
隣りは今年でインディ500のアナウンサー59年目の トム・カーネギー氏
チームとして自分の求めている車を作る

モータースポーツはチームプレイですからチームとの連携が重要です。 速く走らせる要素はどのチームも同じですから、いかに色々なパーツの組み合わせを、程よい味付けで1台のマシンとして仕上げていくかが肝心なんです。 自分の経験がない分それを補うような的確なアドバイスをくれるエンジニアがいたり、データをもとにメカニックとの綿密な打ち合わせが繰り返されてサーキットを走る。 そこでまた問題を指摘し、データを取って、より速く走る為にチームが一丸となって満足の出来るマシンに仕上げていく。 ハンドルを握るのはドライバーですから、その中で自分がやるべき役目をしっかりとやっていく事が勝利に繋がると思っています。


世界で日本の旗を挙げたい

海外に出ると日本人は常に低い扱いを受けているように思うんですよ。 18歳の時にカートでワールドカップに参戦し、日本人で初めて優勝しました。 全日本F3にも出場するチャンスもあったのですが、どーしても外国人選手と戦って、世界でも通用する事をアピールしたかったんです。 海外に出て世界の中で日本の旗を挙げたいんですよね。

インディ500では勿論優勝を狙います

今年亜久里さんのチームでフル参戦していますが、現在自分は乗れているドライバーの一人じゃないかと思っています。 今年からインディ・レーシングに参戦し一回戦マイアミでは11位、二回戦フェニックス11位、三回戦もてぎでは8位とこの3戦で随分成長出来たと思います。 チームも良い方向に向いていますし、トップのドライバーと走る事で高い次元での走り方をもっと体験し勉強していきたいです。 勝つチャンスは誰にでもあるし、自分にも充分にあると思います。 過去インディ・レースで日本人が優勝した事はありませんから、今年は狙っていきたいですね。


350キロの高速で走っても皆同じ方向、同じ考えて走っているので怖い事は何もない

サーキットでは最大限の安全が確保されていますし、一方通行で皆同じ考えで走っていますから怖いと思う事は全くないですよ。 それよりも街を走っている時の方が怖いですよ。 急いでいる人もいるし、サンデードライバーもいる。 たまにカモまで出てきますもんね(笑)

大きな事故が2回

プライベートでは車を擦った事もないんですけどね(笑) それでもレースに事故はつきものですね。 昨年4月バルセロナで走行中にブレーキが抜ける故障で260キロのスピードのまま真直ぐコーナーに突っ込むという大事故に遭ちゃいました。 一瞬ロボコップやターミネ-ターの世界がよぎりましたよ。 視界が真っ赤になって、目の後ろをナイフで刺されるような痛さが走って、スローモーションのように近づいてくる壁を見ながらもう二度とハンドルは握れないんだろうなぁと思ってました。 そのときが一番痛かったですね。 でも5秒後には自力で何か叫びながらマシンから出て行きました。 この事故以来首の調子が悪いんですよ。 首圧の感覚があまりないんです。

300キロでコンクリートに激突

もう一つの事故は昨年12月フェニックスのテストの時です。 初めてのインディカーで二回目のテストでした。 調子が良かったのでそのまま走ろうと思っていたところ、最終コーナーでスピン。 コンクリートウォールにぶつかって、反対側ストレートに真直ぐ行っちゃった。 痛かったですよ。 でもこの時の方が大丈夫だと思った。 インディーカーは丈夫だし、事故はスピードよりあたる角度と場所の方が危ないんです。 スピードは300キロ程度出てましたがあたる角度が大丈夫だったので助かりました。


将来の夢

やはりドライバーとして成功して世界のトップチームから声がかかると嬉しいですね。 ブラジル人が世界に認められたのはアイルトン・セナの功績が大きいと思うんですよ。 自分も世界で日本を認めさせたいです。

レースの楽しみ方はお目当ての選手を見つけること

スポーツ観戦の楽しみ方はどれも同じだと思いますが、自分の応援する選手、知っている選手を見つける事だと思います。 野球だったら松井選手を見たいからチャンネルを回し応援するじゃないですか。 僕はゴルフが好きですからこの前のトーナメントで丸山選手を見てました。 16,17番ホールでタイになって最終18番で負けてしまいましたが、やはり世界でトップになるようなプレーをする、頑張っている人を見ると刺激になります。 レースを知らない人でも応援する選手がいれば、トップでもビリでもその選手を追う。 僕は55番なんですが、今年のシリーズは3人の日本人選手もいますし、その番号を追っているだけでもレースが面白くなると思います。

料理は得意

レースをしない時はのんびりしたり、ゴルフをしたりします。 僕もゴルフは好きでが、亜久里さんはプロ並に上手いですよ(笑)。 それと食べる事が好きで自分でも料理をしたりします。

インディアナポリスに住んで

2月から住んでまだ間もないので、お薦めが何処かを言えるほど良く分っていませんが、良い所ですね。 来たばかりの時は寒いし、何もないしでどーしようと思いましたが(笑)、慣れると住みやすいところですね。 8割のチームがインディアナポリスを拠点としていますし、勿論自分のチームもインディアナポリスにありますから、何かと都合が良いんです。

7月はミルウォーキー9月、10月はシカゴのレースに参戦

7月25日にはミルウォーキー(The Milwaukee Mile)でインディ第9戦。 8月1日には第10戦(ミシガン・インディ400)がミシガン州ブルックリン(Michigan International Speedway)で開催されます。 その他9月10月にはシカゴでのレース参戦もしますので応援宜しくお願いします。

本日はご多忙の中、貴重なお話を聞かせて頂きまして有難うございました。
インタビュー後記
今回は一緒に食事をしながらリラックスした雰囲気の中でのインタビューでした。
回りの人達にとても気を使う繊細な面と場を盛上げる陽気さ、勝負に対する厳しさなど色々な表情を持った魅力ある若者です。 勝つ事にこだわりを持っている。 運だけでは勝てないという言葉から表には出さないまでも燃えるような闘志が窺えます。 ドライバーの腕は勿論の事、マシンのセットアップの仕方でも性能の差が大きく出て勝敗が決まってしまうレースの世界で、最高のマシンを仕上げる為熱心に研究し、分析して、チームの雰囲気を作る。 そのための努力を怠らない一生懸命さと自信が見え隠れする。 今回5月30日に決勝のあったインディ500では雨の為予定より短い180周でのゴールとなり、惜しくも優勝は出来なかったがルーキー最上位の11位と健闘。インディ500ルーキー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれました。世界で日本の旗が挙がる日が近い予感がします。 応援すると共に楽しみにしています。 お忙しい中お時間を頂き、大変有難うございました。
また、今回インタビューに際し、多大なるご協力を頂き、また貴重な写真を提供頂いた天野雅彦氏には心より感謝致します。 有難うございました。

小坂孝樹

関連リンク
松浦孝亮 公式ホームページ
http://www.kosukematsuura.com/
ARTAプロジェクト http://www.super-aguri.co.jp/

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